今までプラズマを物質の第4の状態などと説明をして来ましたがどうもイメージがつかみにくいようようなので、もう少し細かく説明をしてみたいと思います。
物質を構成する原子は中央に原子核を持っていて原子核の中には陽子と中性子を持っています。そしてその周りを電子が回っています。そのような状態の図を理科の授業で
見たことがあると思います。通常は中の陽子の数と周囲を回る電子の数が釣り合っていて電子はプラスにもマイナスにもならない中性の状態を保っています。
しかし、この原子に高熱や高電圧の電気や衝撃を与えると周囲を回っている電子が外部に飛び出したり、あるいは外部から電子を取り込んだりすることがあります。電子が外部に飛び出してしまうと陽子の数と電子の数が合わなくなって陽子の数が多くなってしまいます。このような状態をプラスのイオンと呼んでいます。また逆に電子を取り込んだ場合には電子の数のほうが大きくなってしまうので、マイナスのイオンと呼んでいます。このイオン化した物質の状態は非常に不安定になり、それは逆に言えばとても活性化していると言うことが言えるのです。物質のイオン状態は日常生活の中で言えば、洗剤などの性能を左右する要素でもあったりするし、リチウムイオン電池の性能を左右する重要な要素で合ったりもしています。
さらに、このような不安定な状態はイオンだけでなく、外部に飛び出した電子も同じような状態になっています。
そのような状態をまとめてプラズマ状態と呼んでいます。
上の図がその状況を表したものですが、イオン化した原子核や電子が再び安定した物質に戻ろうとして他の物質にくっついたり、他の物質から電子を奪い取るような動きを続けます。この活発なイオンや電子の働きによって、外部にある有害ガスが他の物質に変化したり、ニオイの元になっている物質を変化させてしまうことが消臭や脱臭にという効果になって現れてきます。
また、活発になったイオンや電子は気体や液体だけでなく、微生物に対しても同様に働きかけることが知られています。これが殺菌という効果になって現れてきます。さらには新型コロナウイルスで話題になった脂質二重層膜で出来たウイルスのエンベローブにもくっついてエンベローブを破壊してウイルスを退治するという現象になって現れてきます。
自由になった原子核や電子が、活発に動くという理由が少しはおわかりいただけたでしょうか。このような状態を作り出して、イオンや電子の力で脱臭や殺菌あるいは水の清浄化、物質の表面処理などに役立てるのがプラズマを開発していく技術なのです。