シックハウスやシックカーの原因と言われているベンゼン・トルエン・キシレンについて説明しておこうと思います。まずはベンゼンですが、少し前に豊洲市場の環境問題で取り上げられた物質ですから多くの方が耳にしたことがあると思います。
ベンゼンは、分子式で表すとC6H6、極めて単純な化合物です。
炭素と水素がそれぞれ6個ずつ組み合わさっています。
常温では無色の液体、独特の甘い香りがするため芳香族炭化水素と呼ばれています。
燃えやすく水には溶けません。逆に脂肪などの有機化合物を溶かすので、有機溶媒として利用されます。
沸点は80度、エタノールとほぼ同じです。
炭素が多いので空気中ではすすを出してよく燃えます。
つまり、引火性が高いので、危険な物質でもあります。一方で融点は5.5度になっています。
それでは人間に対する毒性はどうなっているのでしょうか。
1,まず短期的には、ベンゼンに触れた眼、喉、鼻、口などに痛みを感じます。
吸引すると気管支炎や肺炎が生じる可能性があります。
低濃度であれば倦怠感や疲労感、頭痛などが現れます。
高濃度のベンゼン蒸気を浴びると、いわゆる麻酔状態に陥り、顔面や身体に化学的
熱傷が出来て致命的な状況に至る事例もあるようです。
2,長期的な毒性については工場などで継続的にベンゼンを吸引したことにより血液の
がんである白血病に罹った事例が1950年代にありました。
また、脳への障害、後遺症を残す危険性が指摘されています。
さらに最も問題になるのがベンゼンは鼻、口、皮膚、いずれからも体内へ入り、
容易に脂肪組織で蓄積されてしまうということです。
体脂肪内に溜まると容易に分解されることはなく骨髄細胞を破壊し
免疫系に障害を起こします。
3,上記のような点から法律で使用法が規制されている物質です。