大気圧バリア放電、プラズマ、殺菌、脱臭、表面処理、有害ガス分解、環境対策、カビ、ウイルス、耐熱性薄膜

プラズマをもっと身近な技術にするためのページ

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有機溶剤の分解

 石油系有機溶剤の多くは、トルエンがそうであるように「光分解性・加水分解性ゼロ」といえます。こういった物質はいったん大気中に放出してしまうと分解に大変な時間がかかり、取り返しがつきません。当然、温暖化を呼びます。だからこそVOC規制として工場や建築物からの有機溶剤の放出量が制限されています。

 

その中でも現在考えられている分解法について書いてみます。


1 光触媒
光触媒によりVOCを酸化分解する方法が実用化されています。光源は主に紫外線が使用されていますが、最近は可視光を利用する研究が活発に行われています。

 一例として光触媒によるトルエンの酸化を考えてみます。

 光触媒は分解速度が遅いので、塗装工場や印刷工場などから排出される多量のVOCを直接酸化分解することは困難です*注。しかし、悪臭は僅かの原因物質から発生していることが多く、悪臭除去装置として実用化されています。実際に、排水処理場の悪臭や腐敗臭の発生する保管庫などで効果を発揮しています。

 

2 放電プラズマ法
プラズマは、何回か説明して来ましたが、気体を構成する分子が電離して、陽イオンと電子に別れて運動する状態を言います。放電には以前はコロナ放電が利用されていましたが、現在ではもっと省エネなバリア放電等が用いられ始めています。

VOCの分解は、VOCとプラズマの接触により進行、プラズマ周辺に触媒を配置することで分解速度を10倍以上に高めることが可能です。

放電プラズマ法は、現在、放電を強力にして分解速度を高める研究が行われていますが、一方では、放電を弱くして、空気中での放電に伴う窒素酸化物の発生を抑えて、微量の悪臭物質を除去する用途に限定して使用する方法も考えられています。

放電プラズマ法は、消費エネルギーが少なく分解能力も高い魅力的な処理方法です。弊社のバリア放電プラズマは消費エネルギーが小さく、窒素酸化物の発生もありませんので、目的にピッタリの手法だと考えています。

 

3 オゾン酸化法
 オゾンの酸化力を利用してVOCを分解する方法です。これもプラズマ発生によって副次的に出来る方法と言えます。VOCを含む排ガスを直接オゾンと接触させる方法、及び排ガスを活性炭等に吸着させてからオゾンで処理する方法が研究されています。光触媒法や放電プラズマ法と同じで、処理対象の気体の温度を上げることなしに処理が可能です。オゾン発生には大気中の放電が使用され、VOC処理後はすべて元の酸素や窒素に戻っていくので残留物がない方法と言えます。弊社プラズマ発生ユニットは、電圧のコントロールによりオゾン発生も行え、窒素酸化物は0に抑えます。非常に安価で効果が高いシステムだと言えると考えています。

 

4 生物処理法
 生物処理は、畜舎や堆肥のにおいを除去するために使用されています。しかし、生物処理については装置の仕組みも性能データの取得方法もほとんど公開されていません。分解菌の種類も担持体もノウハウで固められています。

 生物処理では、微生物を殺すような殺菌作用のあるVOCは処理できず、また装置は広い設置面積が必要なので、工場の排気処理には利用が難しいところがあります。しかし、自然に近いクリーンな処理技術として再評価して、強力に開発を進めるべきだとの意見もあります。

 

5 薬液処理法
 VOCを吸収する薬液をシャワーにして吹き付ける、あるいは薬液中でバブリングして排ガスを処理する方法です。吸収したVOCを回収し、薬液を再生してリサイクルします。したがって、排ガスの種類、風量、濃度などにより装置を個別に設計する必要があり、汎用品として市場に出ている製品はほとんどないと言えます。

 

 生物に対する毒性が強く、温暖化の原因物質を安価で分解出来る時代はもう始まっています。

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バリア放電プラズマで発生したプラズマ発光