大気圧バリア放電、プラズマ、殺菌、脱臭、表面処理、有害ガス分解、環境対策、カビ、ウイルス、耐熱性薄膜、オゾン、OHラジカル、新型コロナウイルス

変わった開発者のブログ

安価なプラズマは世の中を変えると信じて苦しみながら夢を追い続ける開発者のブログ。

プラズマによる水のPH変化

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初期値の水の状況

 前回に続いてプラズマエアーバブリングによる水のPH変化を調べました。

 上記の写真は蒸留水200gにアンモニア水0.1gを滴下して撹拌した状態です。

 テトラ社のPHテスト用セットを用いて色によるPHを測定しました。

 写真では色がよく出ていませんが、現実に対比表の色と比べるとPH10程度の色を示しています。

 

この水に1時間のプラズマバブリングをした状況が下記の写真になります。

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1時間後の水の状態変化

 こちらも写真の色がよく出ていませんが、肉眼で確認するとPH8.5程度に変化しているようです。理由はこれから細かく分析していかないとわからないことが多いですが、いずれにしてもプラズマエアーをバブリングすることによって水のPHが変化することは間違いがないと思われます。

 

 次のステップとしては、水に滴下したアンモニアの濃度に変化がないかどうか調べてみたいと思います。

 

 最後になりますが、今回のテストで使用した薬品はこちらになります。

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テトラ社製PH試験試薬

 

プラズマによる水の電気抵抗値変化

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プラズマバブリングによる水の電気伝導度比較

 プラズマが水に対してどのような変化を与えるかの実験の一環として水の電気抵抗値変化を測定しました。

 

 実験は、庭のメダカがいる池の水を採取し、これにプラズマエアーをバブリングして測定してみました。

 結果は上記写真でご覧いただけるようにプラズマエアーをバブリングして行くと、時間とともに水の電気抵抗値が上がっていきます。

 

 これを簡単に考えてみるならば、池の水の中に存在していた導電性の物質がプラズマエアーをバブリングをすることによって減少したということになると思います。自然界で生物が繁殖していた水ですから多くの有機物が混在する条件においてどのような変化が起きているかは今後の分析になりますが、目で見える範囲においては緑色に濁っていた水の透明度が上がっていることだけは肉眼でも確認できました。

 

 次は水のph変化やアンモニア含有量の変化について実験をしてみたいと考えております。結果は逐次上げていきますのでご期待下さい。

 

 

 

 

 

水のプラズマ殺菌

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水滴

 前回の話で塩素による水の殺菌を説明しましたが、塩素殺菌によるトリハロメタン生成とその危険性についても紹介しました。

 塩素の残留性は長時間に渡って水を殺菌する上ではコストパフォーマンスが高いということはわかりますが、下水処理場浄水場で水を殺菌するときから塩素を持ちいるとより多くの塩素が残留する可能性が高く、危険性が増してしまうことが考えられます。

 そこで、今回はプラズマによる水の殺菌について説明したいと思います。これは現在でも大きな浄水場等では使われている殺菌法で、安全な殺菌法として用いrたれています。
 その仕組と言えばプラズマ放射によって発生するオゾンや酸素ラジカル(活性種)の強い酸化力がウイルスや細菌の繁殖をストップさせてしまうというのが特徴です。
 さらに、塩素殺菌に用いた塩素は最終的には空気中に揮発して行きますが、塩素そのものがなくなるわけではなく、塩素は塩素として空気中を漂います。空気中の塩素についてはダイオキシン発生の源になるだけではなく、地球温暖化を進める物質の代表のような存在です。いずれにしても、空気中に拡散した塩素は環境破壊の大きな要因になってしまいます。
 しかし、プラズマによって発生したオゾンや酸素ラジカルは殺菌という作用を発揮したあとには、もとの酸素に戻ってくれるので、地球環境に影響を与えるような物質を発生させることはありません。言ってみれば、環境に優しい殺菌方法ということが出来ます。

 ただ、現状ではプラズマ殺菌を行うには多大なエネルギーを使ってしまうということと、コストがかかるという大きな問題が潜んでいます。安全な殺菌方法であることがわかっていても、簡単には導入できないのはこの問題が横たわっているからです。


 そこで、弊社の開発したプラズマ発生システムを用いて、なんとか省エネでコストのかからないシステムに作り上げたいと考えているのです。

水の塩素殺菌とトリハロメタン

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安全な飲料水

 水の殺菌ということが言われていますが、その方法は様々であり生物的な分解や物理的な分解等が利用されています。今回は長い間利用されてきた塩素による水の殺菌について考えてみたいと思います。

 

 一般に細菌、ウイルスなどの病原菌などを殺して無害化することを「殺菌」するといいます。水道法では「殺菌」の意味で「消毒」という言葉を用いています。いずれの用語に関しても細菌を完全に殺すことを意味している訳ではなく、水道法でも健康に関する項目の中で、一般細菌が「1mLの水に細菌数が100以下であること」と規定しており、細菌数0を要求しているわけではありません。
 

 これに対して「滅菌」とは、病院で手術などに使う器具を高温の水蒸気などでまったく細菌のいない細菌0の状態にすることをいいます。


 水の殺菌方法で有名なのが塩素を用いた殺菌だと思います。塩素分子(Cl2)を水に加えて反応させると、次亜塩素酸(HOCl)と次亜塩素酸イオン(OCl-)という殺菌作用を持つ物質が生成します。この次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンを有効遊離塩素と呼んでいますが、各々の存在割合はpH(水素イオン濃度)の値に依存します。殺菌効果においては次亜塩素酸の方が遥かに大きいので、殺菌効果は酸性側(pH値が小さい方)で大きくなります。このように殺菌能力は水のpH値に依存するという特徴があります。


 そこで、塩素の特徴について説明します。塩素は殺菌効果が高く、しかもその効果が残留するというメリットがあるため、殺菌剤として最も多く使用されています。この「効果が長続きする」という性質が水にとってはきわめて重要になります。持続性がなければ、浄水場で殺菌したキレイな殺菌水も、配水管を通る間に殺菌力を失ってしまいうからです。その結果、家庭の水道の蛇口から出る水は、病原菌の繁殖した危険極まりないものになってしまうからです。


 ただ、塩素殺菌で問題として取り上げられるのがトリハロメタンという物質です。トリハロメタンの問題は、濃度自体は希薄とはいえ、長期にわたる摂取による悪影響が心配されているからです。そこで、最小限の塩素で最大限の殺菌効果を得るということが重要なポイントとなってきます。


 一般的に、河川や湖沼は嫌気性あるいは好気性細菌の働きによる自浄作用を持っていて、水中に混入した汚染物質は無害なレベルにまで微生物によって分解・除去されます。

 しかし汚染物質が有機物である場合、それが分解する際にフミン質やフルボ質といわれる安定的で水中の微生物によって分解されにくい成分が発生してしまいます。これらの物質が塩素と反応すると微量汚染物質が発生すると言われています。これがクロロホルムを中心とするトリハロメタンと呼ばれる物質です。

 

 塩素による殺菌は残留効果と低コストというすぐれた特徴を持っていますが、トリハロメタンの発見により、致命的な欠点があることが明らかになりました。こうして塩素殺菌の危険性がクローズアップされ、現在では大きな問題になっています。


 トリハロメタン発見の歴史的な経過をたどってみると、1972年、ロッテルダム水道のルーク博士は、ライン川の水に「トリハロメタン」が存在していることを発見し、更に1974年に米国ミシシッピー川下流ニューオリンズ市において泌尿器および消化器系のガンによる死亡率の高いことが判明。その原因が水道水中の発ガン性物質にあるとの指摘がなされました。同時に飲料水の殺菌に使用されている「塩素」と水中の有機物質とが反応して生成する「トリハロメタン」を含む82種類もの有機物が、同市の水道水中から検出されたのです。その後の調査によってこれらの有機物の多くが、発ガン性や変異原性(遺伝子に損傷を与え、突然変異を引き起こす性質)を持つことが動物実験で明らかになりました。


 現在では、水道水といえばトリハロメタン、と連想する人が多いようですが、水道水中に含まれる汚染物質はトリハロメタンだけではなく、半導体工場などで使用されている有機塩素化合物(トリクロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン)をはじめ、四塩化炭素、最強の発ガン性物質といわれるMX(3-クロロ-4-ジクロロメチル-5-ヒドロキシ-2(5H)-フラノン)、農薬、ポストハーベスト(収穫後に保存のために散布する農薬)、アミン類、アスベストなどです。これらの物質は、発ガン性や変異原性を有していることが明らかになっています。


 とくに、気をつけなければ行けないのは有機塩素化合物に至っては地下数百メートルもの深井戸からも検出されています。一般に、地上の水が地下水脈にまでたどり着くのに60年~100年かかるといわれています。その間に地中の粘土層や岩石層によって汚染物質が濾過され、しかも適度なミネラル分を含んだ「安全でおいしくしかも健康に良い水」に生まれ変わると言われています。

 ところがトリクロロエチレンなどの有機塩素化合物は、地表面にこぼれるとごく短期間で地下水脈に到達してしまいます。しかも、地下水脈は地中であらゆる場所とつながっており、あっという間に汚染が広がってしまうのです。こう考えると現在では地下水脈を利用した井戸水も安全と言いきれる状態ではなくなってきているようです。

 

 

 

 

 

 

プラズマの食品分野における用途開発

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プラズマ発光をしている様子


 

 現状における大気圧プラズマの具体的な用途が研究されている分野においてご紹介しておきいたいと思います。様々な分野において大気圧プラズマの具体的な導入研究が行われているので、少しずつ掘り下げてみたいと思います。

 

 まず、食糧問題としてニーズの高まる農業分野における植物工場や保存倉庫といった密閉空間における殺菌手法としての大気圧プラズマ適用実験が積極的に行われいます。

 

 微生物(大腸菌を始めとする種々の細菌),青カビの一種であるフザリウム,ミドリ
カビなどの殺菌・滅菌を具体的事例として研究が進んでおり効果も確認されています。

 

 農作物の保存や植物工場内の環境を清浄に保つための1つの手法として大気圧プラズマの有用性が多くの研究機関で確認されています。

 

 また,プラズマの応用可能性を殺菌だけでなく食品加工分野や食品輸送分野の鮮度保持という目的にも広げようという試みがなされています。これも今後の食料分野の問題としては重要な課題となっています。

 

 いずれの研究ステージに置いても、今まで薬品に頼らざるを得なかった殺菌効果を薬品汚染という危険性のない大気圧プラズマを積極的に利用することで安心安全な食品の供給を目指そうという大変意義深い研究だと考えます。

 

 また、今年もそうですが、今後、自然環境の変化により農作物の供給が思うように行かず価格が高騰するという事態が頻繁に発生する可能性が高くなってきています。さらに言えば価格が高騰するだけでなく、品物が不足するという事態についてもきちんとした対応が求められる時代になってきています。

 

 作物をいかに安全かつ効率的に生産するか、あるいは食物をいかに長持ちさせるかと言うことが重要な課題になってきているのは間違いありません。しかも残された時間はそう多くはないと考えられます。

 

 そんな時代の中でもっと手軽にプラズマを利用したシステムを多くの方たちとのコラボレーションの中で開発して行ければと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

プラズマが一歩進歩しました。

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透明タイプ誘電体

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ホワイトタイプ誘電体

 誘電体バリア放電の重要な要素になる誘電体。この誘電体はより誘電率が高いことが必要であるだけではなく、プラズマ放電することで対向する電極をプラズマの酸化作用から守るという役割が求められます。良くも悪くもプラズマ放電の生命線であると言って間違いありません。

 弊社の誘電体バリア放電の特徴である極低電圧放電作用は、すべて開発を続けてきた誘電体素材によってなしえているものです。

 今までは、上記写真にあるように透明タイプ・ホワイトタイプの2種類を開発して来ました。ただ、まだまだ低電圧でプラズマ放電が出来る可能性があると信じて新しい誘電体素材の開発を続けてきました。

 そこで見つけたのが下記写真にありますようなブラウンタイプの誘電体です。

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ブラウンタイプ誘電体

 新しい誘電体の特徴等は徐々に説明して行く予定ですが、どの誘電体も問題なくプラズマ発光をしている状態の写真をアップしておきます。プラズマを工業用途だけでなく医療や環境対策の切り札として利用してほしいと考えていますから、どこまで行っても省電力で環境負荷の少ない素材を用いることは最大の目標だし、どこまで行っても行き過ぎることはないと考えます。

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透明タイプ誘電体

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ホワイトタイプ誘電体

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ブラウンタイプ誘電体

 どうやってこの素晴らしい技術を広めて行くのか大きな課題にもまだまだ挑戦します。

 

 

 

 

 

新たな機能性薄膜の開発を開始しました。

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フレキシブル薄膜

 弊社の得意とする耐熱バインダーの技術と沈降防止技術を組み合わせることで光学的な機能を持った薄膜の開発に着手しました。

 光学的な用途では、世の中に数多くの素材がありますが光エネルギーを変換するような機能のものは少ないのではないでしょうか。

 今回、とあるきっかけから新たな光学的な機能をもった薄膜にチャレンジをはじめました。エネルギーをどれだけ有効に変換出来るかの一点に集中して開発を続けています。変換効率をどこまで上げていけるか、やりがいのある課題だと思っています。

 

 

 内容につきましてはもう少し技術的に煮詰まって来てからブログで報告いたします。

 興味のある方は楽しみにお待ち下さい。