昨日から鹿児島での院内感染に関するニュースが流れています。そこで、以前に書きいたことですが、ここでもう一回院内感染についての情報をまとめてみます。
1、そもそも院内感染とは,病院内に感染源が存在し,病院内で患者,患者の家族や面会者,医療従事者などが曝露され,感染したものと定義されています。
最近では,医療関連感染と言われることも多く,病院内に限られず,施設内での感染も含まれる。潜伏期の短いものは,病院内で発症しますが,潜伏期の長い結核などは,退院後や病院外で発症する場合も含まれます
感染症伝播は,三大因子である感染源,感染経路,宿主感受性に関連して発生します。それらが院内感染対策上,重要なポイントになります。つまり,感染源の封じ込め,感染経路の遮断,宿主のワクチン接種などの免疫獲得がポイントになります。感染患者を個室等に隔離しても医療従事者が接触することは避けられませんから,感染経路の遮断が重要な課題になっています。感染対策の基本は,標準予防策と感染経路別予防策の二つになります。
2、頻度の高い微生物
あらゆる微生物が,院内感染を引き起こす可能性
があると言われています。しかし,その頻度が高いものは,
①潜伏期にも感染力がある感染症(麻疹,インフルエンザなど)
②保菌者も含め,感染源を封じ込めることが困難な感染症(MRSA 保菌者など)
③感染経路を遮断することが困難な感染症(麻疹,水痘の空気感染など)
④少量の微生物でも感染が起こりやすい感染症(ノロウイルスなど)
⑤感染伝播力の強い感染症(ノロウイルス,インフルエンザなど)など
が挙げられる。
病原体別にみると,下記のような分類がされています。
● 細菌:腸管出血性大腸菌,赤痢菌,クロストリジウム・ディフィシル,インフルエンザ菌,髄膜炎菌,ジフテリア菌,百日咳菌,化膿性レンサ球菌,結核菌,セラチア,マイコプラズマなど
● 薬剤耐性菌:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),メチシリン耐性表皮ブド
ウ球菌(MRSE),バンコマイシン耐性腸球菌(VRE),ペニシリン耐性肺炎球菌
(PRSP),多剤耐性緑膿菌(MDRP),多剤耐性アシネトバクター(MDRA),基質拡張型 β ラクタマーゼ産生菌(ESBL),メタロ―β ラクタマーゼ産生菌,β ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)など
● ウイルス:ノロウイルス,ロタウイルス,RS ウイルス,ウイルス性出血性結膜炎,アデノウイルス,インフルエンザウイルス,ムンプスウイルス,パルボウイルス,風
疹ウイルス,麻疹ウイルス,水痘・帯状疱疹ウイルス,B 型肝炎ウイルス,C 型肝炎ウイルス,ヒト免疫不全ウイルス
● 真菌:カンジダ属,アスペルギルス属
● その他:疥癬,しらみ症
院内感染に関しても、プラズマによる殺菌が効果を持つと考えられます。とにかくコストさえ工夫ができればもう少し身近なところでプラズマが活躍できる土俵が出来てくると考えられます。ぜひ、コストのかからないプラズマの殺菌システムを考える人がたくさん出てきてくれることを期待しています。