キシレンとは、別名「キシロール」とも呼ばれる、芳香族炭化水素に分類される有機物です。特有のにおいを持ち、常温で無色透明の液体です。
ベンゼンについている水素基のうち2つがメチル基になったものですが、キシレンの混合物は、塗料、接着剤、印刷用のインク、農薬などの原料として使われていますし、灯油にもわずかながらに含まれています。また、キシレンには以下のように3種の異性体があります。
o-キシレン(オルトキシレン)、m-キシレン(メタキシレン)、p-キシレン(パラキシレン)
化学原料として使用するためには異性体ごとに綺麗に分けてから使われています。
1,o-キシレン
プラスチックの可塑剤や顔料、酸化させて、「無水フタル酸」という物質に変化させて塗料に使用するのが一般的です。
2,m-キシレン
m-キシレンは他のo-キシレンやp-キシレンに変化させて利用するケースが多くなっています。また、一部では可塑剤やポリエステル樹脂の原料であるイソフタル酸の原料としても使われます。
3,p-キシレン
こちらは「テレフタル酸」「テレフタル酸ジメチル」というプラスチックや衣服の繊維に利用される物質の原料の素として使われています。
また、塗料やシンナー用途でのキシレンは一般的に「混合キシレン」と呼ばれるものが多く、一般的な混合キシレンは3種のキシレンとエチルベンゼンを含んでいます。
エチルベンゼンは各種の法律で仕様が規制されていますので、使用するには注意が必要です。
キシレンの毒性
キシレンは毒物及び劇物取締法にて、医薬用外劇物に指定される物質で、強い毒性を持つので扱う際には十分な注意が必要です。
大量にキシレンの気体を吸い込むと、頭痛や倦怠感、吐き気、食欲不振などの症状が出ますが、重症の場合は意識を失う場合もあります。また、気体の場合だけでなく液体も、皮膚や目、喉、鼻などの粘膜を刺激します。
さらに、液体が手に付いた場合、キシレンの脂肪を溶かす性質によって皮膚から体内に吸収されてしまいます。
このように、キシレンについては使用する際に毒性を理解した上で十分な注意が必要になります。