大気圧誘電体バリア放電用の誘電体膜の性能を上げる開発をやっているなかで、測定値の変化によくわからないデータが出てくるようになりました。それは、偶然の思いつきよってとある物質Xを薄膜の中に分散させたときに発生して来ました。その物質は決して特殊なものではなくごく一般的に市場に出回っているものです。
その時に思ったのが、ひょっとしたらこの誘電体薄膜は起電力を有しているのではないかということです。そこで、早速試してみることにしました。
薄膜を塗って200℃で乾燥させたアルミ板の上に銅板で電極を作って2種の金属板の間の電圧を測定しました。つまり構造としてはアルミ板+薄膜X+銅板になっています。アルミ板単体あるいは銅板単体では当然のように起電力はありません。またアルミ板+銅板の構造では微弱な電位差はあってもこの程度の面積では測定できるような数値にはなりません。
3層構造の結果では下の写真のようになりました。
さらに電極の密着性を上げようと手で電極を押し付けてみると出力電圧は上昇しました。
今回の実験によって何もないところで起電力がある状況が確認出来ました。これは理屈はこれから考えるとしても、ひょっとしたら今後の電池開発にとって大きな一歩になるかもしれない可能性を秘めていると考えられます。
これを実用段階までもっていくには次のステップは何がポイントになるのか、追求してみる価値は十分にあると考えられます。