今日はお休みだし、少し砕けた話題でも書いてみたいと思います。
私の得意とするところの植物、特に菌根菌に関して少し書いてみます。
そもそもキノコは「木の子」に由来すると言われます。
倒れた樹などに発生し、エノキは榎にシイタケは椎にマツタケは赤松等の特定の木に生えることから名前が付いたものもあります。
じつは、キノコは森林の生態系で重要な役割を果たしています。
地表に堆積した植物の遺体はまず、細菌やカビによって炭水化物や窒素化合物・でんぷんなどに分解されます。その次に細菌・カビ・キノコがセルロースやヘミセルロース等を分解し、さらにキノコがリグニンを分解して無機物とし植物に吸収されます。いうなればキノコは森林のリサイクル業者的な働きをしています。
キノコは栄養の摂取の仕方で3種類に分類されます。
1、共生菌(菌根菌)
生きている植物の根に菌根を形成し、低分子の糖を受け取る代わりに菌糸が土壌や有機物から吸収した様々な無機塩類や水分を植物に提供します。
2、寄生菌
生きている植物に寄生し、一方的に栄養を吸収する菌類。
昆虫や他の菌類に寄生する冬虫夏草が典型例です。
3、腐生菌
植物の遺体等から栄養を吸収する。シイタケなどの栽培キノコの多くがこれに属します。
キノコの栽培はまだまだ歴史が浅くて昭和18年に現在の栽培法につながる特許が取得されています。これからまだ各種のキノコ栽培の研究が続けられていくと思います。マツタケが出来たらすごいけど、思いっきり値崩れしそうです。
まあ、植物の世界は画期的な栽培法が生み出されると、一気に値崩れするのが常ですからそれも仕方ないですね。洋ランがメリクロンという栽培法で一気に値下がりし、園芸植物化したけど、その結果今では誰でも手に出来る植物になりましたからね。
それとキノコの研究はそれと関連する植物の研究も進めますから園芸植物の世界にも影響を与えそうです。まあ、最近ではランだけでなく、バラや山野草のような植物も菌根菌の研究が進んでるからとっても楽しみです。絶滅危惧種の増殖にも菌根菌の研究が大きな効果を発揮するかもしれませんし、生産植物の生育を大幅に改良するかもしれません。
植物と細菌やカビの関係についてはまだまだ入り口にいる感じです。今後どんな展開をするかとっても楽しみです。