金属の世界においては、金属表面の汚れを取り除き綺麗な金属表面を作り出すことが産業上の大きな課題になっています。
現状では金属表面の処理として薬品が使われていることが多く、この薬品を完全に洗い流すために大量の水が使われています。さらに、水で洗い流した薬品はいずれ環境負荷の材料となって地球環境を汚して行きます。
それに比べて、プラズマ処理ならプラズマが作り出した自由な電子や原子のエネルギーで金属表面の汚れを除去したり金属表面の酸化膜を除去して金属表面を綺麗にする性能を持っています。そもそも世の中に流通している金属の表面は酸化膜に覆われることで金属が酸化することを防いでいます。しかし、この性質の結果として多くの金属表面を撥水性にしています。これは、金属表面に新たな処理をしたり色をつけたり、あるいは金属表面に何かを貼り付けたりする場合にはマイナスの効果として働きます。
プラズマを照射することで金属の表面の汚れを取り親水性へと変化させます。
簡単に銅とアルミで実験をしてみました。
まず銅の場合です。
銅線をテープで固定してプラズマを照射します。
60分後には銅の表面光沢がなくなり、表面が銅本来の色に変化しています。
これをよく見ると
プラズマが当たったところはザラザラになっていますが、テープでカバーされてプラズマが当たらなかった部分は最初の光沢が残っています。
銅の場合には表面のサビを抑えると同時に表面に光沢を与える処理がされているので、プラズマを照射すると表面についた光沢剤も取り去った結果として銅本来の色に変化しています。
次にアルミの場合です。
アルミ表面に水滴をたらして、アルミの撥水性を確認します。
これから緑色の線の上部にプラズマを照射します。
プラズマ照射後また水滴を垂らします。
上下で水滴の姿が変化しています。
まず、上部は
撥水性がなくなり、水滴が広がっています。
表面が親水性に変化しています。
それでは下部はどうかというと
最初と変わらず撥水性を保っています。