通常の放電と言えば電気が空気の絶縁を破って通電する状態をいいますが、空気中において個体絶縁物の上に2つの電極を載せて電極の間に電圧を加えていくと、電極の先端から個体絶縁物の表面に沿って沿面コロナ放電が発生し、さらに電圧を上げていくとコロナが発展して火花放電に至ります。
このように絶縁物の表面に沿って絶縁破壊が進行する放電形態を沿面放電またはせん絡 (フラッシオーバ)といいます。
沿面放電は意図せず電極間に発生することが多く非常に厄介な現象です。とくに、電子機器の土台を支えるプリント基板上で発生することが多く、プリント基板を設計する際には沿面放電を起こさないような電極の距離をとる配置が重要なポイントとなってきます。
しかし、近年のようにプリント基板の小型化が進むと、沿面放電を起こさないような電極の距離(これを沿面距離といいます)を取ることが難しいことが多く、その際には電極間にスリットと呼ばれる溝を設けて、電極間に平面が存在しないような工夫がなされています。
沿面放電も放電の一種ですから、放電している状態では当然プラズマ状態が発生しています。