大気圧バリア放電、プラズマ、殺菌、脱臭、表面処理、有害ガス分解、環境対策、カビ、ウイルス、耐熱性薄膜、オゾン、OHラジカル、新型コロナウイルス

変わった開発者のブログ

安価なプラズマは世の中を変えると信じて苦しみながら夢を追い続ける開発者のブログ。

高気圧と低気圧

 今回の台風19号、日本各地に大きな爪痕を残して通り過ぎました。今回も自然災害の恐ろしさを思い知らされることになりました。

 今は被災された方の一日も早い復興を願わずにはいられません。

 

 

 

 ところで、地球の大気は地球の引力により同じように地球に張り付いているはずなのにどうして地球上で高気圧や低気圧が発生するのでしょうか?

 

 簡単に言ってしまえば、高気圧と言うのは空気がギュッと圧縮されて空気の密度が高い領域で、低気圧と言うのは空気の密度が低い領域だと言えます。空気も周囲とのバランスを取ろうとしますから、密度の高い部分から密度の低い部分に流れていくという性質があります。そして、両方に差がなくなった時点で流れは止まることになります。

 

 これを言い換えると、低気圧には周りから空気が流れ込み上昇気流が発生します。このときに空気中に含まれる水分も一緒に上昇して行くことになります。空気中の水分が上昇すると温度が下がって氷になり、これが雲を発達させて行きます。ですから、低気圧には氷の粒が集まりやすく、これが「低気圧=雨」という図式を作る基本的な原理と言えます。

 

 

 そこで、台風についてですが、低気圧としての上昇気流が発生する場所が、熱帯性の海であって、温かい海からは大量の水蒸気が蒸発しているために上昇気流の中に大量の水分を含むことになります。これが大量の氷を作ることとなり、結果として強烈な雨雲を作ることになります。同じ上昇気流が発生する場所でも、砂漠のような 乾いた気候の中では雲は発達することはないのです。

 

 台風情報の中で、暖かな海の上を進むと強い勢力を維持すると言われるのも、水蒸気が多いところを通ると大量の水分を吸い上げ続けることによって強い雨雲を次々に作ることが出来て勢力を衰えさせることがないからなのです。

 

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低気圧

 

 高気圧と低気圧の仕組みを知ることで、これからの台風予想がわかりやすくなるかもしれませんよ。

 

 

 

 

 

 

ニコチンの水とプラズマエアーの効果

 プラズマが喫煙室のニオイ消しに使われていることが多いのは周知の事実ですが、水に溶けたニコチンにはどのような効果があるのかを調べてみました。

 

 まずはタバコの葉を水に溶かし浸出した水を濾過して葉を取り除いた水を作りました。文献によればこれは猛毒と言ってよい水であり、多量に摂取すれば死に至ることもあるようです。

 

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ニコチンの水 実験開始時

 この水にいつものようにプラズマエアーをバブリングして変化をみました。

 実験開始前は水の濁りでビーカーの反対側にある目盛りが読めません。

 

 まずは実験開始60分後の状態です。

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開始60分後の状態

 水の色に変化が出始めました。

 ビーカーの目盛りも見えるようになってきました。

 

 続いて120分後の状態です。

 

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開始120分後の状態

 更に水の色に変化が出ました。

 ビーカーの向こう側の目盛りの数字が読めるようになってきました。水の透明度が上がったということなのでしょう。

 

 さらに、180分後の状態です。

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180分後の状態

 先程よりさらに目盛りの数字がはっきりと読めるようになりました。

 

 このように見てくると、プラズマバブリングによってニコチンが溶け出した水が変化してことがわかります。

 

 次はこれをどうやって分析していくか?

 専門の検査機関に協力を仰がないと細かい分析は無理かな?

 

 

 

プラズマ発生ヘッドの形状の自由度

 大気圧バリア放電のプラズマヘッドは2つの対向する電極と高耐電圧の誘電体によって形成されます。

 

 更に誘電体にはプラズマの強い酸化力によっても電極としての金属が酸化されることのない素材であることが要求されます。

 もし、プラズマの酸化力によって金属の酸化が進むと金属表面が削り取られるような現象が発生してしまい対向する電極としての金属の距離が変化してしまいます。この結果、電極としての金属間の距離が次第に離れていってしまいます。電極間の距離が離れることによって次第にプラズマが発生しにくい状況が出来てしまい、最終的にはプラズマが発生しないということになってしまいます。

 

 そこで、通常の大気圧バリア放電においては、誘電体はセラミックガラスが使われることが多くなり、結果としてプラズマ発生ヘッドの形状の自由度が失われてしまいます。プラズマ発生ヘッドの形状が固定化されてしまうことは、求める効果に対する最適なプラズマ発生ヘッドの形状を作り出すことが難しくなるという結果につながります。

 

 しかし、ここでご紹介している大気圧バリア放電方式によるプラズマ発生方法に用いる誘電体は今までと全く異なる発想で構成されているために、プラズマ発生ヘッドの形状に自由度をもたせることが可能です。プラズマの効果を発生させたい被対象物が複雑な3次元形状である場合あるいは3次元空間である場合にはプラズマヘッドもそれに近い3次元形状であることが望ましいのは言うまでもありません。

 

 今回はそんなプラズマヘッドの例をご紹介します。

 

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平面上に構成したプラズマ発生ヘッド

 

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リング状に形成したプラズマ発生ヘッド

 このようにご紹介している誘電体を用いることによって自由にプラズマ発生ヘッドの形状がコントロール出来ます。

 

 

 

 

 

 

オーロラのお話 自然の中のプラズマ現象Ⅱ

 

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きれいに輝くオーロラ


前回は自然の中のプラズマ現象として雷を紹介しましたが、今回はオーロラ現象について紹介してみたいと思います。

 

 空高くにゆらめく赤や緑色の光のカーテンのようなオーロラですが、この光の原因となっているのは、太陽からくる風で、太陽風と呼ばれています。

 
 太陽風は太陽のエネルギーによって分解された物質の原子(プラスの電荷)とその周りを回っていた電子(マイナスの電荷)がバラバラになったままの状態の集まりです(まさにこのバラバラの状態がプラズマなのです)
 
 太陽風は、地球には直接ぶつかるわけではありません。ちょっとわかりにくかもしれませんが、プラズマである太陽風は、地球の磁場の影響を受けて、地球の裏側(夜側)に回りこみます。地球の裏側には、この回りこんだプラズマがたまっている場所がありプラズマシートと呼ばれています。このプラズマシート(プラズマだまり)で磁場が急激に変化する現象が起きると、爆発的にエネルギーを得たプラズマが地球に流れ込んできます
 
 プラズマは電荷を持っていますから、磁場の方向にそって移動し地球の磁極(N極とS極)の周辺に流れ込みます。このプラズマが地球の大気にぶつかると、大気中の窒素分子や酸素が刺激されてプラズマ状態だった物質が元に戻るためにプラズマとして持っていたエネルギーを光という形のエネルギーにして放出します。この光の放出によって起きる現象がオーロラなのです。
 また、オーロラの色が変化して見えるのはプラズマが衝突する大気中の物質の種類によって発光する色が変わって来るからなのです。
 

このようにオーロラは、太陽活動と地球大気が密接にからみあって起きる現象であり、プラズマを身近に感じ取れる現象の一つなのです。

 

 

 

 

 

雷のお話 自然の中のプラズマ現象

 このブログではプラズマについて多くの記事を書いていますが、 プラズマという言葉がどうも遠くてわかりにくいという概念を持つ方が多いのではないでしょうか。そこで自然界に溢れているプラズマ現象について触れてみたいと思います。

 

 地球上で簡単に観測できるプラズマ現象と言えばが代表的な存在ですが、雷はどうやって出来ていくのでしょうか

 

 簡単に言ってしまえば雷はプラズマを利用して徐々にルートを開拓していくのです。

 
 

 まず、雲の中の電子が、空気の中で特に通りやすそうなところを選んでちょこっと進みます。通りやすそうなところというのは、例えば宇宙線の影響で空気がほんのわずか電離した部分などです。この時に電子は途中の空気をさらに電離させますから、一度通過した通り道はプラズマ化して、ますます電気を通しやすい状態になっています。そのため2回目のトライでは、1回目に通ったルートはそのまま利用し、そこから先に進む段階で、また新しいルートを開拓します。
 
こうして何回もトライを繰り返し、そのたびに折れ曲がりながら少しずつルートを伸ばして行くのです。一方地上の方でも、プラスの電荷がルートを探して上に向かいます。そして上からのルートと下からのルートがつながった瞬間、完成された導線を通って大電流が流れ、プラスとマイナスが一気に結合します(主雷撃)。稲妻のあの独特の形は、このようにして作られたものなのです。

 

 自然の中のプラズマ現象を少しは理解していただけたでしょうか?

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雷ー自然の中にあるプラズマ現象

 

 

 

 

 

起電力を持つ薄膜Ⅱ

 前回偶然に発見した起電力を持つ薄膜に関して環境温度の変化と起電力の関連を調べました。実験で使ったものは100mm✕100mmのアルミ板に薄膜を形成し、その対向電極として50mm✕50mの銅メッシュ板を使用しました。また、薄膜の構成を2種類作成して測定をしてみました。

 

 この2枚の板を昇温ボックスに入れて温度を上げていきながら、発電電流を測定しました。

 その結果が下記のグラフのようになりました。

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温度による発電量変化

 出てきたデータはあたかも熱電変換素子のように温度によって発電量が変化する現象でした。

 この結果から考えられるのは、金属間に存在する薄膜が金属の温度差を増幅するような効果を発揮しているのではないかと言うことです。

 金属間の温度差による起電力はゼーベック効果として確認されていますが、これほどの低温からしっかりと確認できるのは非常に興味深いと考えられます。

 

 ほんの思いつきから始めた実験ですが、低温からゼーベック効果を確認出来る性能をもう少し突き詰めてみたいと考えています。

 

 

 

 

 

  

起電力を持つ薄膜

 大気圧誘電体バリア放電用の誘電体膜の性能を上げる開発をやっているなかで、測定値の変化によくわからないデータが出てくるようになりました。それは、偶然の思いつきよってとある物質Xを薄膜の中に分散させたときに発生して来ました。その物質は決して特殊なものではなくごく一般的に市場に出回っているものです。

 その時に思ったのが、ひょっとしたらこの誘電体薄膜は起電力を有しているのではないかということです。そこで、早速試してみることにしました。
 
 薄膜を塗って200℃で乾燥させたアルミ板の上に銅板で電極を作って2種の金属板の間の電圧を測定しました。つまり構造としてはアルミ板+薄膜X+銅板になっています。アルミ板単体あるいは銅板単体では当然のように起電力はありません。またアルミ板+銅板の構造では微弱な電位差はあってもこの程度の面積では測定できるような数値にはなりません。
 3層構造の結果では下の写真のようになりました。
 
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さらに電極の密着性を上げようと手で電極を押し付けてみると出力電圧は上昇しました。
 
 
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 今回の実験によって何もないところで起電力がある状況が確認出来ました。これは理屈はこれから考えるとしても、ひょっとしたら今後の電池開発にとって大きな一歩になるかもしれない可能性を秘めていると考えられます。
 これを実用段階までもっていくには次のステップは何がポイントになるのか、追求してみる価値は十分にあると考えられます。
 

 今回の台風被害によって停電という重大なトラブルが発生している現状を考えれば少なくともエネルギー必要なく、充電も必要ないスタンドアロンの電源の開発は緊急の課題になってくるんではないでしょうか。