大気圧バリア放電、プラズマ、殺菌、脱臭、表面処理、有害ガス分解、環境対策、カビ、ウイルス、耐熱性薄膜、オゾン、OHラジカル、新型コロナウイルス

変わった開発者のブログ

安価なプラズマは世の中を変えると信じて苦しみながら夢を追い続ける開発者のブログ。

光化学スモッグとは

 大気中に放出された窒素酸化物炭化水素 が,強い太陽光線(紫外線)により環境中で化学的に反応し酸化力の強いオキシダントまたは還元性物質のホルムアルデヒド,アクロレイン,その他硝酸ミスト,硫酸ミストを発生させる現象を言います。

 

 オキシダントが白色や薄青色の靄 (もや) 状となって視界に影響を与えることから光化学スモッグと命名されました。

 

 主成分は過酸化物であるオキシダントで,オゾン  ,パーオキシ・アセチル・ナイトレート  などです。このうち オゾンオキシダントの 90%を占めると言われています。目やのどを刺激し,ときには起立性調節障害やアレルギーの原因ともなり,また四肢のしびれや呼吸困難などの重症被害を引起すこともあります。

 

 最近では植物にも影響を与えることがわかり,タバコ,サトイモなどの被害が報告されているほか,ゴムを劣化させることもあります。

 

 ピークであった1991年の光化学注意報の発令は,延べ 121日(15都府県)もありました。原因は主として工場,ビル冷暖房などの小規模発生源,自動車から排出される NO窒素酸化物と,主として自動車,工場,石油類貯蔵所などから排出される炭化水素 であると言われています。

 

 2000年台に入り、発生は少なくなっていましたが2010年くらいからまた発生の頻度が上がってきている状況です。

 

 

 

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身近なVOCには何がある?

 前回は工業的なVOCについて書きましたが、VOCは一般家庭からもかなりの量が排出されていると考えられています。

 これらの家庭で使われる民生品から、都内で1万トンものVOCが放出していると推計されているからかなりの量が家庭から排出されていることになります。 

 民生品として代表的なものは、エアゾールスプレーのガス(可燃性のもの)、家庭用塗料、カー用品類、医薬品・化粧品、防虫剤(パラジクロロベンゼン)などがあります。

 特に、夏季の光化学スモッグが発生しやすい時期は排出を低減するための取り組みが重要になってきます。一人くらいなら影響ないだろうというエゴがいずれ個人にも戻ってくるということを認識すべき問題だと思います。

 

 

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VOCとは?

 昨日までの記述の中で何度か出てきたVOCという言葉について説明します。

 

 VOCはVolatile Organic Compoundsの略で,揮発性有機化合物という意味です。大気中にあるベンゼンホルムアルデヒドなどの有機化合物のうち沸点が50℃〜260℃(WHO基準による)の物質の総称で,NOXとともに光化学大気汚染をもたらす主要な原因物質とされていますが、その種類は100種類以上もあり,中には発がん性など人体に有害な影響を及ぼすものも多く,最近ではシックハウス症候群の原因物質としても知られています。

 日本では「有害大気汚染物質」の中で,特に優先的に対策に取り組むべき物質として22種類が規定されていますが、その中でVOCに関しては,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,ベンゼンの3物質について環境基準が定められています。

 

 その中でも、トリクロロエチレンとテトラクロロエチレンに関しては,早急に排出規制を行わなければならない物質としての排出基準が定められています。

 

 昨日書いたように大気中に放出されると分解されづらく環境汚染効果が高い物質としてもう少ししっかりと認識しておくことが重要な物質です。

 

 

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有機溶剤の分解

 石油系有機溶剤の多くは、トルエンがそうであるように「光分解性・加水分解性ゼロ」といえます。こういった物質はいったん大気中に放出してしまうと分解に大変な時間がかかり、取り返しがつきません。当然、温暖化を呼びます。だからこそVOC規制として工場や建築物からの有機溶剤の放出量が制限されています。

 

その中でも現在考えられている分解法について書いてみます。


1 光触媒
光触媒によりVOCを酸化分解する方法が実用化されています。光源は主に紫外線が使用されていますが、最近は可視光を利用する研究が活発に行われています。

 一例として光触媒によるトルエンの酸化を考えてみます。

 光触媒は分解速度が遅いので、塗装工場や印刷工場などから排出される多量のVOCを直接酸化分解することは困難です*注。しかし、悪臭は僅かの原因物質から発生していることが多く、悪臭除去装置として実用化されています。実際に、排水処理場の悪臭や腐敗臭の発生する保管庫などで効果を発揮しています。

 

2 放電プラズマ法
プラズマは、何回か説明して来ましたが、気体を構成する分子が電離して、陽イオンと電子に別れて運動する状態を言います。放電には以前はコロナ放電が利用されていましたが、現在ではもっと省エネなバリア放電等が用いられ始めています。

VOCの分解は、VOCとプラズマの接触により進行、プラズマ周辺に触媒を配置することで分解速度を10倍以上に高めることが可能です。

放電プラズマ法は、現在、放電を強力にして分解速度を高める研究が行われていますが、一方では、放電を弱くして、空気中での放電に伴う窒素酸化物の発生を抑えて、微量の悪臭物質を除去する用途に限定して使用する方法も考えられています。

放電プラズマ法は、消費エネルギーが少なく分解能力も高い魅力的な処理方法です。弊社のバリア放電プラズマは消費エネルギーが小さく、窒素酸化物の発生もありませんので、目的にピッタリの手法だと考えています。

 

3 オゾン酸化法
 オゾンの酸化力を利用してVOCを分解する方法です。これもプラズマ発生によって副次的に出来る方法と言えます。VOCを含む排ガスを直接オゾンと接触させる方法、及び排ガスを活性炭等に吸着させてからオゾンで処理する方法が研究されています。光触媒法や放電プラズマ法と同じで、処理対象の気体の温度を上げることなしに処理が可能です。オゾン発生には大気中の放電が使用され、VOC処理後はすべて元の酸素や窒素に戻っていくので残留物がない方法と言えます。弊社プラズマ発生ユニットは、電圧のコントロールによりオゾン発生も行え、窒素酸化物は0に抑えます。非常に安価で効果が高いシステムだと言えると考えています。

 

4 生物処理法
 生物処理は、畜舎や堆肥のにおいを除去するために使用されています。しかし、生物処理については装置の仕組みも性能データの取得方法もほとんど公開されていません。分解菌の種類も担持体もノウハウで固められています。

 生物処理では、微生物を殺すような殺菌作用のあるVOCは処理できず、また装置は広い設置面積が必要なので、工場の排気処理には利用が難しいところがあります。しかし、自然に近いクリーンな処理技術として再評価して、強力に開発を進めるべきだとの意見もあります。

 

5 薬液処理法
 VOCを吸収する薬液をシャワーにして吹き付ける、あるいは薬液中でバブリングして排ガスを処理する方法です。吸収したVOCを回収し、薬液を再生してリサイクルします。したがって、排ガスの種類、風量、濃度などにより装置を個別に設計する必要があり、汎用品として市場に出ている製品はほとんどないと言えます。

 

 生物に対する毒性が強く、温暖化の原因物質を安価で分解出来る時代はもう始まっています。

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バリア放電プラズマで発生したプラズマ発光

 

 

 

 

 

 

トルエンの次はキシレンについてご紹介

 シックハウスの原因物質として3つ目はキシレンです。

 キシレンとは、別名「キシロール」とも呼ばれる、芳香族炭化水素に分類される有機物です。特有のにおいを持ち、常温で無色透明の液体です。

 

 ベンゼンについている水素基のうち2つがメチル基になったものですが、キシレンの混合物は、塗料、接着剤、印刷用のインク、農薬などの原料として使われていますし、灯油にもわずかながらに含まれています。また、キシレンには以下のように3種の異性体があります。

o-キシレン(オルトキシレン)、m-キシレン(メタキシレン)、p-キシレン(パラキシレン)

 

 化学原料として使用するためには異性体ごとに綺麗に分けてから使われています。

 

1,o-キシレン
 プラスチックの可塑剤や顔料、酸化させて、「無水フタル酸」という物質に変化させて塗料に使用するのが一般的です。

 

2,m-キシレン
 m-キシレンは他のo-キシレンやp-キシレンに変化させて利用するケースが多くなっています。また、一部では可塑剤やポリエステル樹脂の原料であるイソフタル酸の原料としても使われます。

 

3,p-キシレン
こちらはテレフタル酸」「テレフタル酸ジメチル」というプラスチックや衣服の繊維に利用される物質の原料の素として使われています。

 

  また、塗料やシンナー用途でのキシレンは一般的に「混合キシレンと呼ばれるものが多く、一般的な混合キシレンは3種のキシレンとエチルベンゼンを含んでいます。

 エチルベンゼンは各種の法律で仕様が規制されていますので、使用するには注意が必要です。

 

シレンの毒性
 キシレン毒物及び劇物取締法にて、医薬用外劇物に指定される物質で、強い毒性を持つので扱う際には十分な注意が必要です。

  大量にキシレンの気体を吸い込むと、頭痛や倦怠感、吐き気、食欲不振などの症状が出ますが、重症の場合は意識を失う場合もあります。また、気体の場合だけでなく液体も、皮膚や目、喉、鼻などの粘膜を刺激します。

 さらに、液体が手に付いた場合、キシレンの脂肪を溶かす性質によって皮膚から体内に吸収されてしまいます。

 このように、キシレンについては使用する際に毒性を理解した上で十分な注意が必要になります。

 

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ベンゼンに続いてトルエンもご紹介。

 今日はベンゼンに続いて、シックハウス症候群の原因物質であるトルエンについて紹介します。

 

 トルエンとは、ベンゼン環に「メチル基」が1つついた芳香族炭化水素と呼ばれる有機物です。別名、メチルベンゼン、トルオール、トロール、フェニルメタンとも呼ばれます。

 無色透明で、常温で液体です。炭素(C)が7つ、水素(H)が8つで構成された分子です。

  臭いが強い物質で、いわゆるシンナー臭として有名です。その臭いの強さから、悪臭防止法という法律で指定されています。ちなみにトルエンの指針値は、空気1立方メートルあたり260マイクログラム(0.07ppm)と規定されています。

 

 トルエンの特徴は溶解力が非常に強く、様々なもの(塗料、接着剤、ゴム、インク、油など)を溶かせるため、種々の溶媒として用いられてきました。ただし、水には溶けにくい物質です。また、トルエンそのものが自然には分解しづらく、その意味では非常に安定した物質と言うことが出来ます。

 

 例えば、塗料を希釈するためのシンナーの原料として、接着剤の粘度を落とすための希釈剤などとして使われています。

 

 トルエンの健康に及ぼす影響はベンゼンに似ていますが、トルエンを吸うことにより、吸い始めは強い快感を感じるのですが、吸い続けるうちに副作用が出て、幻覚や幻聴などの症状に見舞われたり、全身の筋肉の劣化や生殖器、脳への障害が発生します。

 現在では毒物劇物取締法という法律で厳しく規制されています。かつてのようにトルエンや、トルエンを含む薬剤を購入することは、個人も法人も、必要な手続きや申請をしなければできなくなっています。

 

 トルエンは悪臭防止法や毒物劇物取締法だけでなく、多くのの法律でも規制されています。たとえば「有機溶剤中毒予防規則」、「女性労働基準規則」等でも規制されています。

 

 トルエンの健康に及ぼす影響が大きいことから、工業的な用途においても最近は少しでも安全性の高いもので今までの業務を行えるように「代替化」が進んでいます。シンナーではトルエンを使用しない、NT(ノントルエン)タイプのシンナーや、NTX(ノントルエンシレン)タイプのシンナーが普及するようになってきています。

 

 溶媒を安全な物質に置き換える動きはトルエンに限らず、他の溶剤でもより安全性の高いものを使う「代替化」が進んできています。

 

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シックハウスの原因物質の一つ ベンゼンとは

 シックハウスやシックカーの原因と言われているベンゼントルエン・キシレンについて説明しておこうと思います。まずはベンゼンですが、少し前に豊洲市場の環境問題で取り上げられた物質ですから多くの方が耳にしたことがあると思います。

 

 ベンゼンは、分子式で表すとC6H6、極めて単純な化合物です。
炭素と水素がそれぞれ6個ずつ組み合わさっています。

常温では無色の液体、独特の甘い香りがするため芳香族炭化水素と呼ばれています。

燃えやすく水には溶けません。逆に脂肪などの有機化合物を溶かすので、有機溶媒として利用されます。

沸点は80度、エタノールとほぼ同じです。
炭素が多いので空気中ではすすを出してよく燃えます。

つまり、引火性が高いので、危険な物質でもあります。一方で融点は5.5度になっています。

 

 それでは人間に対する毒性はどうなっているのでしょうか。



1,まず短期的には、ベンゼンに触れた眼、喉、鼻、口などに痛みを感じます。

 吸引すると気管支炎や肺炎が生じる可能性があります。

 低濃度であれば倦怠感や疲労感、頭痛などが現れます。

 高濃度のベンゼン蒸気を浴びると、いわゆる麻酔状態に陥り、顔面や身体に化学的

 熱傷が出来て致命的な状況に至る事例もあるようです。

 

2,長期的な毒性については工場などで継続的にベンゼンを吸引したことにより血液の

 がんである白血病に罹った事例が1950年代にありました。


 また、脳への障害、後遺症を残す危険性が指摘されています。

 

 さらに最も問題になるのがベンゼンは鼻、口、皮膚、いずれからも体内へ入り、
容易に脂肪組織で蓄積されてしまうということです。
体脂肪内に溜まると容易に分解されることはなく骨髄細胞を破壊し
免疫系に障害を起こします。

 

3,上記のような点から法律で使用法が規制されている物質です。

 

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